ホロコースト記念館は広島県の東部、岡山との県境 福山市にあります。 ホロコーストに関する博物館がこのような地方にあることは全く知らず、 ぜひ訪れたいと以前から思っていました。
なぜなら、幼い頃の私は何度もアンネ・フランクに関する本や彼女の日記を読み返しており、 非人道的な残虐行為をエスカレートさせていったナチス・ドイツや、 ユダヤ人として生まれたため迫害を受け悲劇の人生を閉じたアンネに関する非情さについて 何度も考えたことがあったからです。
ホロコースト記念館
福山市中心部から北方向に5kmほど車を走らせると、 緑豊かで閑静な住宅街の一角にホロコースト記念館はあります。
マロニエの木
敷地内の東側塀沿いには、マロニエの木が植えられています。 これは、アンネ・フランクがアムステルダムの隠れ家から眺めていたマロニエの木の若木で、 アンネ・フランクのいとこ バディ・エリアスさんが贈ってくれた苗木を植樹したものだそうです。
残念ながらマロニエは落葉性のため緑の葉を見ることはできませんでしたが、 ホロコースト記念館のパンフレット内の写真には緑の葉が茂るマロニエが映っていました。
閉ざされた隠れ家内でひっそりと暮らしていたアンネ・フランクは 窓の僅かな隙間から見える新緑のマロニエの葉に季節を感じ、平和への希望を抱き続けたのです。
館内へ
前面ガラス張りの開放感あるエントランスへ向かいました。
中に入ると、まず係の方がホール・ギャラリーに案内してくれます。 その部屋で、ホロコーストや記念館に関する映像を見て、簡単な知識を頭に入れます。
ホール・ギャラリーの隣にはこどもの部屋があり、 子供たちが絵本などでホロコーストや平和について考えることができるようになっています。
2階展示室
館内にはホロコーストの歴史について、強制収容所に関してなどわかりやすく展示されており、 当時の貴重な遺品なども置かれていました。
主な展示は2階にあります。
残念ながら写真撮影はできません。 以下、ホロコースト記念館のパンフレット内の写真です。
人類の犯した大きな過ちの歴史は残虐で悲劇的。目をそむけたくなるようなものばかりですが、 無垢な子供たちにとっても決して知らないまま通り過ぎるわけにはいけないのです。
二度と同じ過ちを犯さないためにも、戦争や平和について改めて私たちは学ばなければいけないのです。
アンネの部屋
私はアムステルダムにあるアンネ・フランクハウスに行ったことがありますが、 ここホロコースト記念館ではアンネの部屋が忠実に再現されていました。
雑誌の切り抜きなども壁に貼られ、 狭く薄暗い部屋、閉ざされた窓など、息が詰まりそうな空気感も見事にリアル感がありました。
アンネ・フランクハウスのアンネの部屋には家具は何も置かれておらず、 アンネの人生そのものが全て無になってしまったという空虚さを感じたのですが、 ホロコースト記念館の再現された部屋には彼女が使っていたであろうと思われるような机が置かれ、 心の叫びを日記に書き綴っていた彼女の存在をより感じることができました。
アムステルダムにあるアンネ・フランクハウスについて書いています
アンネの展示
アンネのことについて、多くの子供たちに知ってほしいと思います。
アンネの日記のレプリカも置かれています。 レプリカとはいえ、アムステルダムのアンネ・フランクハウス制作提供の極めて精巧なものです。
ライブラリー
1階入口に入ってすぐのところには、広いライブラリーのコーナーがあります。 ホロコーストに関する書籍、ビデオ、DVDなどをみることができます。
なお、ここでしばらく書籍を見ていた時、ホロコースト記念館 館長 大塚信さんにお会いすることができました。
館長さんは聖イエス会の牧師もされており、見るからに人を惹きつける朗らかな笑顔で話しかけて下さいました。 平和に関する講演を国内外でされており、これだけの立派な記念館を入館料無料で公開して下さっています。
このホロコースト記念館を開くきっかけになったのは、 生存して収容所を出ることができたアンネの父、オットー・フランクさんとの運命的な出会いなんだそうです。
なんと訪問旅行中のイスラエルのレストランで、たまたま旅行で訪れていたオットーさんとお会いしたとのこと。 導かれるように出会うべくして出会ったということでしょう。 館長さんの平和を願う強い気持ちや貴重なお話を直接伺うことができました。
アンネのバラ園
館長さんとオットーさんの親交は深まり、後日アンネの形見であるバラの苗が日本に贈られてきたそうです。 そして接ぎ木などで増やされたアンネのバラは愛と平和のシンボルとして日本各地に広まり、 ホロコースト記念館の南側の日当たり良い庭園にも約50株植えられているそうです。
毎年5月上旬から咲き始めるそうです。寒い時期に来たのでちょっと残念。
でも、少し開花しているバラがありました♪ アンネのバラは蕾の時は赤色、開花後に黄金色と変色していくんですって!
そして、「平和の天使 アンネの形見のバラ」と書かれたプレートとともに、 アンネのか細い像が立っていました。
このような少女の姿のまま生涯を終えざるをえなかったアンネですが、 彼女の日記に書かれていた「私の望みは死んでからもなお生き続けること」という言葉は現実のものとなっています。
彼女は今もなお、平和の天使として多くの人々の心に生き続けているのです!
アンネ・フランクの日記・書籍
ホロコースト記念館では様々な資料をいただいたり、ガイドブックを購入しました。
できればホロコースト記念館を訪れる前に、ぜひ読んで下さい。
アンネ・フランクの家族、彼女を取り巻く人間関係、当時の社会状況などを理解し、彼女のことを更に深く知ることができます。改めてアンネの日記を読み返すとより彼女の平和への思いや悲劇の死を遂げた無念さ、今後私たちが果たすべき役割を考えます。
ホロコースト記念館は平和学習、人権学習の場として子供から大人まで多くの人にぜひ訪れてほしい博物館です。 暗く重い戦争とホロコーストの真実を知り、平和が続くよう一人一人の心に刻んでほしいと思います。
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