Blogger

【エクス・アン・プロヴァンス】 水と芸術の街 - 噴水が点在する美しい旧市街散策 - フランス旅行記

エクス・アン・プロヴァンス(Aix-en-Provence)はフランス南部プロヴァンス地方に位置し、噴水が点在する優雅な街並みから「水と芸術の都」と呼ばれています。

17世紀の面影が残る旧市街には、ミラボー通りやサン・ソーヴール大聖堂など歴史を感じる風景が街の各所に見られます。

噴水が彩るミラボー通りから旧市街へ

今回は、ロトンド広場から旧市街へ入り、噴水が並ぶミラボー通りを歩きながら、エクス・アン・プロヴァンスらしい街並みを巡りました。

ロトンド広場

ロトンド広場は、エクス・アン・プロヴァンス旧市街の入口に位置する大きな円形広場です。

正式にはジェネラル・ド・ゴール広場(Place du Général de Gaulle)と呼ばれ、ミラボー通りをはじめとする主要な通りの起点となっています。

ロトンド広場の中央にあるロトンド大噴水(Fontaine de la Rotonde)は1860年に完成した噴水で、旧市街へ向かう人々を迎える街のランドマークです。

水盤の上には正義・農業・芸術を表す三体の女性像が立ち、勢いよく噴き上がる水とともに広場の中心で存在感を放っていました。

広場から西方向に目をやると、エクス・アン・プロヴァンス出身の画家ポール・セザンヌのブロンズ像(Paul Cezanne Statue)が立っていました。

画架を背負った姿で、題材とする風景を求めて郊外へ写生に向かう姿でしょうか。

セザンヌが生まれ育った街を歩きながら、彼が描いた風景を改めて見てみたくなりました。

ミラボー通り

ミラボー通り(Cours Mirabeau)は、エクス・アン・プロヴァンス旧市街の南側に延びる街のメインストリートです。

17世紀に旧市街の城壁跡を利用して整備された通りで、両側にはカフェやレストラン、歴史ある建物が建ち並んでいます。

中央には複数の噴水が点在し、プラタナスの並木が続く通りには多くの人が行き交っていました。

ミラボー通りの西側入口付近には、二つの女性像が向かい合うように建っていました。

北側に立つ芸術と科学像("Arts et Sciences" Staues)は、文化や学問の発展を象徴する女性像です。

南側に立つ産業と装飾芸術像("Industries et Arts décoratifs" Statue)は、商業や職人技術、工芸文化の発展を象徴する女性像です。

ミラボー通りを東へ歩いていくと、涼しげな水音を響かせる噴水が目に留まりました。 これは、1750年に造られたヌフ・カノンの噴水(Fontaine des Neuf-Canons)です。

街を代表する歴史的な噴水で、名前の由来となった九つの噴水口からは、絶えず水が流れ出ているそうです。

ミラボー通りをさらに東へ歩いていくと、ひときわ存在感のある苔の噴水が見えてきました。

苔の噴水(Fontaine Moussue)は1667年に造られた噴水で、ヌフ・カノンの噴水よりも古い歴史を持っています。

温泉水に含まれる石灰分が長い年月をかけて堆積し現在の姿になったとされ、実際に目の前にすると巨大な岩の塊のように見えました。

ミラボー通りの東端近くには、プロヴァンスの繁栄を支えたルネ・ダンジュー(René d'Anjou)の像が立つ噴水があります。

ルネ王は15世紀にプロヴァンスを治め、文化や芸術の発展に力を注いだことから、「善王ルネ」として今も親しまれているそうです。

アルベルタ広場

ミラボー通りから細い路地を抜けると、淡い黄色の外壁に囲まれたアルベルタ広場(Place d'Albertas)に出ました。

広場を囲むように18世紀の邸宅が建ち並び、貴族の街として栄えたエクス・アン・プロヴァンスの面影を今に伝えています。

中央には噴水があり、周囲の邸宅群とともに広場を象徴する存在となっています。

ミラボー通りの賑わいとは対照的に広場には人影が少なく、噴水の水音が静かに響いていました。

市庁舎周辺

旧市街の奥へと足を進めると、市庁舎広場(Place de l’Hôtel de Ville)があります。

広場ではプラタナスの大木が枝を広げ、その木陰にはカフェのテラス席が並び、談笑を楽しむ人々の姿が見られました。

市庁舎広場の中央には、市庁舎広場の噴水(Fontaine de l’Hôtel de Ville)があります。

広場を代表する風景のひとつで、中央に高く伸びた石造りの支柱が特徴的なデザインです。

支柱の基部にはマスカロンと呼ばれる人物の顔の彫刻が施され、その口から水が流れ出ていました。

広場の象徴と言えるのが、17世紀に建てられたエクス・アン・プロヴァンス市庁舎(Town Hall of Aix-en-Provence)です。

イタリアの影響を受けたフランス古典主義様式の建物で、優雅なファサードは風格が感じられました。

市庁舎は、正面入口が開いている時間帯であれば無料で中へ入り、中庭まで見学できます。

中庭は左右対称の建物に囲まれ、優雅なバルコニーや細かな装飾が見どころです。

広場側の賑わいとは対照的に、中庭には人影も少なく、ゆっくり歩きながら見学できました。

市庁舎と隣接して立つ時計塔(Tour de l'Horloge)は、エクス・アン・プロヴァンスを代表する歴史的建造物のひとつです。

もともとは鐘楼として建てられた塔に、1661年、天文時計が新たに設置され、現在もその役割を果たしているそうです。

時計塔と向かい合うように建つ建物は、ラ・ハレ・オ・グラン図書館(Halle aux Grains)です。

18世紀中頃に建てられた歴史的建造物で、かつては穀物市場として利用されていたそうです。

建物正面のペディメントには穀物や商売を象徴する彫刻が施されており、当時の役割を今に伝えています。

時計塔の下は人が行き交うアーチ状の通り道になっており、私もそこを抜けて旧市街の北側へと向かいました。

サン・ソーヴール大聖堂

市庁舎広場からサポルタ通りを北へ進むと、エクス・アン・プロヴァンスを代表する宗教建築であるサン・ソーヴール大聖堂(Cathédrale Saint-Sauveur)に到着しました。

この大聖堂は5世紀頃に起源を持つとされ、長い年月の中で増改築が重ねられた結果、ロマネスク様式やゴシック様式など複数の建築的特徴が混在しています。

ファサードはゴシック様式を基調とし、正面全体に細かな彫刻装飾が施されています。

左右対称ではなく、左側の塔のみが上方へと伸びる構造となっており、明確な非対称性が見られました。

堂内へ入ると、身廊から祭壇へと続く奥行きのある空間が広がっていました。天井部にはリブ・ヴォールトが連なり、上部構造を美しく支えています。

聖書の場面を描いたステンドグラスから光が差し込み、堂内は明るく照らされていました。

内部には宗教的な装飾や彫刻が残されており、長い歴史の積み重なりを肌で感じることができます。

ジョゼフ・セック庭園

さらに通りを北へ進み、パストゥール通りにあるジョゼフ・セック庭園(Jardin de Joseph Sec)へ向かいました。

エクス・アン・プロヴァンスの木工職人ジョゼフ・セックの思想と宗教観を反映し、18世紀後半のフランス革命前後の時代に構想・造営された庭園だそうです。

パストゥール通り沿いには、庭園の入口となる石造りの立派な門構えがあり、象徴的なレリーフが刻まれていました。

庭園内には、旧約聖書の物語を題材にしたと考えられる人物像や場面が表現されています。

この彫刻は、旧約聖書の「士師記」に登場する物語を題材にしており、ヤエルが敵将シセラを討つ瞬間を表現しているようです。

緑に囲まれた敷地内には、聖書の人物や象徴的な人物像とみられる彫刻が複数並んでいました。

個人の信仰や考えにもとづいて作られた庭園でありながら、それぞれ見ごたえある彫像群でした。

エクス・アン・プロヴァンスを訪れて

ロトンド広場からミラボー通り、市庁舎周辺を経てサン・ソーヴール大聖堂へと歩き、さらにジョゼフ・セック庭園まで巡るルートでしたが、 それぞれの場所が近い距離にまとまっており、無理のない街歩きになりました。

賑わいのある広場から歴史ある建築、そして彫刻のある静かな庭園へと、短い時間ながらも内容の濃い散策で、 エクス・アン・プロヴァンスの様々な魅力を歩きながら実感できる時間になりました。

エクス・アン・プロヴァンス観光マップ

ピンクライン:実際に歩いた散策ルート
黄緑ライン:ミラボー通り(メインストリート)