Blogger

【シギショアラ】 世界遺産の街 - 城壁に囲まれた中世の街並み - ルーマニア旅行記

シギショアラ(Sighisoara)の歴史地区は 城壁に囲まれた城塞都市として栄え、 美しい中世の景観がそのまま残っています。 1999年にはユネスコの世界遺産に登録されました。

デアル・チェタツィーの丘にある旧市街は 時計台や教会などの建造物のほか、 900年前当時の街並みや丘からの眺望など見所たっぷりです。

ブラショヴから シギショアラへ

シギショアラはルーマニアの中央に位置し、 首都 ブカレストからは北西方向 300kmほどのところにあります。

私たちのツアーはブラショヴに2泊し、 ブラン城などと併せてシギショアラ観光する予定になっていました。

ブラショヴからシギショアラまでは 約120km。 のんびりとした田舎の風景や、小さな村の何とも素朴な家々などを眺めながら、 バス移動の 2時間ほどを過ごしました。

シギショアラ歴史地区

入口から 時計塔へ

さて、バスは歴史地区までは入れませんので、丘の下で降車した後は 石畳の坂道をゆっくり5分ほど歩いて登って行くと、目の前に入口門が見えてきました。

仕立業者の塔(Turnul Croitorilor)

城塞都市シギショアラの見張り塔は、当時勢力を誇っていた商工業者のギルドが造ったそうです。 このため、見張り塔にはそれぞれギルド名がつけられています。

このシギショアラ歴史地区への入口である仕立業者の塔は、 最も裕福なギルドによって14世紀に造られ、 当時は時計塔に並ぶ高さであったそうです。

当時の仕立業者の塔は大火のため崩壊したそうですが、 その後再建され現在の姿になっています。 門の下をくぐり、中に入って行きました。

道なりに歩き、黄色い外壁の建物下のアーチを通り抜けます。

時計塔周辺の風景

城塞都市広場(Piata Cetatii)

建物を通り抜けると、東側は広場になっています。 この城塞都市広場周囲には パステルカラーの建物が立ち並び、何とも可愛い雰囲気です。

かつては公開処刑が行われていたという悲しい歴史があるそうですが、 現在は観光客が行き交う人気の広場です。 ベンチにゆっくりと座って、しばし街並みをのんびりと眺めていたいなぁと思いました。

城塞都市広場から南東方向にはカラフルに連続旗が連なる賑やかな通りがあり、 その奥には時計台が見えました。

シギショアラ時計塔(The Clock Tower)

14世紀に建てられたシギショアラ時計塔は街のシンボルとなっており、 人気の観光スポットです。

時計塔の内部は歴史博物館(Muzeul de Istorie)となっています。 拷問室として使われていた部屋などもあるそうです。

時計の隣には17世紀に取り付けられたというからくり人形があり、 毎正時には人形が動くのを見ることができます。

自由時間があるならば、ぜひ時計塔を上ってみましょう。 赤茶色の屋根の家々が広がるシギショアラの街を360度眺めることができます。 なお、時計塔に上る時に階段の途中にて、からくり人形をすぐ近くで見ることができます。

時計台の下を潜り抜けて南方向に進みました。 時計台はシギショアラ歴史地区を取り囲む城壁の城門の1つとなっています。

反対側から時計台を眺めてみました。 こちらから見えるからくり人形は、北側とはまた異なります。

ドミニコ会修道院付属教会(Biserica Manastirii Dominicane)

シギショアラ時計塔から北隣には教会があります。 13世紀に建てられたドミニコ会修道院付属教会です。

外観はゴシック建築ですが、 大火の影響などもあって改修工事を繰り返し様々な様式が取り入れられています。 美しいバロック様式の祭壇などがあり、博物館としても見学する価値があるようです。

前面から見るより北方向に歩いて、側面から見る方が歴史を感じます。 そして、教会北側の広場には銅像があります。

ヴラド3世像(Statue of Vlad Tepes)

これはヴラド3世像です。 ヴラド3世は、オスマン・トルコ、ハンガリーなど周囲勢力の侵略からルーマニアを守った英雄です。

しかし、捕虜を串刺し処刑するのを好んだという残虐性から、 串刺しすることを意味するツェペシュ公と一般的に呼ばれています。

ヴラド3世は、1431年ここシギショアラで生まれました。 現在もその生家が現存し、人気のレストランとして利用されています。

今回のルーマニア旅行では、彼の血生臭いイメージからドラキュラ城として名高いブラン城観光や、 彼の生家であるレストランでの昼食を楽しみました。 (それぞれ別ページに記載しています。)

シギショアラ新市庁舎(Sighisoara City Hall)

更に北には、シギショアラ新市庁舎があります。 元々は樽職人の塔があったそうですが、 19世紀その跡地に建てられたものだそうです。

新市庁舎の裏手は庭園になっており色鮮やかに彩られた花壇があります。 そして、その前方には素晴らしい風景が広がっています。

シギショアラ時計塔の南側にも見晴らし台がありましたが、 新市庁舎の裏手からはより広くシギショアラの街の素晴らしい眺望を楽しめます。

北方向の風景

さて、城塞都市広場から北方向には教会の尖塔らしいものが見えました。

聖ヨーゼフ・ローマ・カトリック教会(St. Joseph Roman Catholic Church)

教会方向に、まっすぐ北に向かって通りを歩いて行くと教会が見えてきました。 これは、聖ヨーゼフ・ローマ・カトリック教会です。

旧市街地には3つの教会があるそうですが、そのうちの1つで白い外壁が美しい教会です。 19世紀に建てられた後 大火のため修復もされており、 中世の歴史地区の中では近代的な雰囲気でした。

教会前は整備された広場になっており、中央には胸像がありました。 これは、ペテーフィ・シャーンドル像です。

ペテーフィ・シャーンドルはハンガリーの著名な詩人であり、 ハンガリー革命に加わり、自由のために戦ったそうです。

彼はシギショアラを舞台としたシェゲシュヴァールの戦いで亡くなったそうで、 この地にペテーフィ・シャーンドルを称える記念碑が造られたようです。

製靴職人の塔(Turnul_Cizmarilor)

その広場から西方向には、製靴職人の塔があります。

1676年の大火後に再建されたものだそうで、 かつて造られた14塔のうち、現存する9塔のうちの1つです。

至聖三者大聖堂(Holy Trinity Church)

広場から北東方向を見ると、 シギショアラ歴史地区の北を流れるトゥルナヴァ・マレ川北岸に美しい教会が見えました。

これは、至聖三者大聖堂です。 存在感あるルーマニア正教会で、バスでシギショアラに近づいてきた時もまず目に留まりました。 歴史地区の北側や東側高台から、それぞれ少し異なる角度で見ることができます。

下の写真は、先に新市庁舎の裏手見晴らし台から北方向を眺めた時のものです。 素晴らしいシギショアラの街の眺望の中でも、ひと際美しく見えました。

教会内部の装飾も大変美しく、見応えがあるそうです。

山の上の風景

シギショアラ歴史地区の北方向の街歩きを堪能し、 再び時計塔周辺への帰り道、山の上の方を見ると何か建物が見えました。

今度はシギショアラ歴史地区の西方向にある山の上に向かいました。

学生階段(Scara Acoperita-Covered Stairway)

山の上へは学生階段を上っていきます。 時計塔からは南西方向にあります。 古めかしく独特の雰囲気の小さな入口です。

学生階段を上っていくと、山上教会や学校があります。 この屋根付きの屋根は、礼拝に向かう人や通学する生徒のために造られたそうです。

標高425mの小高い山の上には、175段の階段を上ります。 結構な距離がありましたが、17世紀に造られた当時は300段もあったそうです。

上っても上っても前方には遥か先まで階段がそびえ立ち、 一番上に着く頃には息切れ状態でした。

ドイツ語学校(Joseph Haltrich high school)

山の上に着き、左方向に進むと目の前にあるのは高校の建物です。

これは、先ほど山の下から見上げた時 山頂に見えた建物。 現在はドイツ語学校となっているそうです。

山上教会(Biserica din Deal )

ドイツ語学校のすぐ西隣には山上教会があります。 正式には聖ニコラウス教会と言い、 山上の見所の1つです。

山上教会はトランシルヴァニア地方の代表的なゴシック建築だそうです。 14世紀から200年かけて造られたそうで、 教会内では、美しいルーテル派の壁画を見ることができるとのこと。

綱職人の塔(Turnul Franghierilor)

山上教会のすぐ隣、北西方向にあるのは綱職人の塔です。 ギルドによって造られ現存する9塔のうちの1つで、 最も古く13世紀に造られたものだそうです。

山上教会の西方向は墓地が広がっているのですが、 綱職人の塔はその墓地の管理人さんの住居になっているんだとか。

この歴史ある建物での生活ってとんなんだろうって思ったけど、 建物前面はかなり改築されて新しくなっているようでした。

デアル・チェタツィーの丘にあるシギショアラ歴史地区の中でも、 ここ山上地区からの眺望は素晴らしいです。

山上教会前からは、遠方の山々やカラフルな屋根の家々が並ぶ街の風景を眺めることができます。

シギショアラの歴史地区は「ルーマニアの宝石」と呼ばれているそうです。 カラフルで可愛い建物が立ち並ぶ通りが多く、 歩いて散策するのがとても楽しかったです。

シギショアラ歴史地区 観光マップ

(青ライン:実際に歩いた散策ルート/黄緑ライン:学生階段 )