イタリア南部に位置するマテーラ(Matera)は、石灰岩を掘って作られた洞窟住居「サッシ」が広がる歴史ある町です。 現在も多くの洞窟住居や岩窟教会が残り、その独特な景観が評価され、ユネスコ世界遺産に登録されています。
また、南イタリアの玄関口であるバーリや、世界遺産の町アルベロベッロへのアクセスも良好で、 圧巻の風景を楽しめるマテーラは人気の観光地となっています。
マテーラ - 観光スポット
マテーラの町は、3つの主要な地区に分かれています。
- サッソ・カヴェオーゾ地区(Sasso Caveoso)は、昔ながらの状態で洞窟住居が多く残り当時の暮らしをより体感できるエリア。
- チヴィタ地区(Civita)は、町の中心で貴族の宮殿や大聖堂が集中するエリア。
- サッソ・バリサーノ地区(Sasso Barisano)は、洞窟住居が最も多く残るものの、ホテルやレストランが多く観光地として整備されたエリア。
マテーラ新市街
ヴィットリオ・ヴェネト広場
まずは、新市街中心のヴィットリオ・ヴェネト広場(Piazza Vittorio Veneto)へ向かいました。
この広場は、サッソ・カヴェオーゾ地区とサッソ・バリサーノ地区への玄関口となっており、周囲には歴史的な建物やカフェが立ち並んでいます。
12月上旬に訪れたため、ちょうど広場ではクリスマスヴィレッジ(Matera Christmas Village)を開催中♪
毎年、12月初旬から約1か月マーケットブースが並ぶようです。
昼間は味気ないオブジェにしか見えませんでしたが、暗くなればライトアップされ、輝くクリスマスツリーとなって幻想的な雰囲気になるのでしょうね。
建物沿いに白で統一されたお店がズラリっと並び、工芸品・雑貨類や防寒グッズなども売られていました。
マテーラではあいにくの天候で想像以上に寒さを感じていたので、ちょうど可愛い帽子やひざ掛けを購入でき良かったです。
奥にはメリーゴーランドも設置されていました。
でも、昼間だったこともあり、キラキラ輝くマーケットというよりは とてもシンプルな雰囲気でした。
ヴィットリオ・ヴェネト広場の南側に見かけたのは、フェルディナンデアの噴水(Fontana Ferdinandea)です。
大きなアーチの間に泉があり、旧市街のシンボルとなっています。
サン フランチェスコ広場
新市街のメインストリートである コルソ通り(Via del Corso)を東方向に歩いて行くと、 サン フランチェスコ広場(Piazza S. Francesco)に出ます。
サン フランチェスコ ダッシジ 教会
サン フランチェスコ広場でひときわ目を引くのが、サン フランチェスコ ダッシジ 教会(Chiesa di San Francesco d'Assisi)です。
この教会は13世紀に建てられ、後に現在のバロック様式へと改装されたそうです。 特に、美しく装飾されたファサードが印象的です。
内部はさらに豪華で、精巧な彫刻が施された祭壇や美しいフレスコ画が見どころとなっているそうなので、見学できずちょっと残念でした。
プルガトリオ教会(煉獄教会)
サン フランチェスコ広場から道なりに南方向に進むと、通りの反対側にはプルガトリオ教会(Chiesa del Purgatorio)があります。
日本語では煉獄教会を意味するそうです。 『煉獄』とは、天国へ行く前に魂が浄化される場所とされており、そこで苦しむ魂の救済を願って祈りが捧げられる教会ということです。
外観を眺めただけでしたが、ファサードには骸骨・天使・聖人像などの独特な装飾やレリーフが施されており印象的でした。
サンタ キアーラ教会
マテーラは特に洞窟教会が多いのが特徴ですが、新市街にも教会が点在しています。
南に伸びる ドメーニコ・リドラ通り(Via Domenico Ridola)を進むと、 サンタ キアーラ教会(Chiesa di Santa Chiara d'Assisi)がありました。
通り沿いには石造りの建物が立ち並び、カフェやショップが並ぶ賑やかなエリアとなっています。
17世紀頃建てられ、元は修道院だったそうです。 周囲の建物と一体化したような構造で、新市街の街並みに溶け込んだ小さな教会でした。
パスコリ広場
道なりに更に進むと、パスコリ広場(Piazzetta Pascoli)に出ます。 ここからは洞窟住居が密集するサッソ・カヴェオーゾ地区を一望できるのです!
広場奥の展望台からは圧巻のパノラマビュー!
高台に建つマテーラ大聖堂の鐘楼もひと際目立つ存在でした。
ランフランキ宮殿(バジリカータ中世近代美術館)
広場には、ランフランキ宮殿(Palazzo Lanfranchi)があります。
17世紀に建てられ、現在はバジリカータ中世近代美術館として開放されているそうです。
ちょっと驚いたのは、ランフランキ宮殿前に設置された大きな「水滴」の彫刻です。 周囲の雰囲気とは異なり異質な存在感を放っていました。
この黒いオブジェは、彫刻家 吾妻兼治郎さんの「水滴」という作品だそうです。 人々の生活や文化に欠かせない水の存在を象徴するものなんでしょうか。
それにしても、こんな場所に日本人の作品が設置されているとは驚きました。
サッソ・カヴェオーゾ地区
さて、パスコリ広場はサッソ・カヴェオーゾ地区への入口のひとつとなっています。 そこから、いよいよサッシ地区の散策に向かいました。
グロッタの家
グロッタの家(Storica Casa Grotta)はかつての住民の洞窟住居を再現し、有料で公開しているものです。
石灰岩を掘って作られた住居で、暮らしぶりがよくわかります。
でも、なんとベッド横にはロバやニワトリが同居! 密封された洞窟内で家畜と一緒に生活はちょっと考えにくいなぁ…
寒い冬にも家畜を守ると同時に、盗難を防ぐための有効手段だったということですが、衛生上は問題ありそうです。
洞窟の片隅には住民の生活に欠かせない農作業の工具や入れ物もたくさん置かれていました。
台所には、フライパンや調理器具、壺類、食器などの生活用品が並んでいました。
実際に洞窟住居を見学し、過酷な環境の中で生活していた当時の暮らしぶりの一端を垣間見ることができ、大変興味深かったです。
サンタ・マリア・デ・イドリス教会
階段や狭い通りを進むと、ごつごつした岩山が横に迫り、頂上には十字架が見えました。
ここは洞窟教会のサンタ・マリア・デ・イドリス教会(Chiesa di Santa Maria de Idris)です。
十字架が無ければ、もはやただの岩山にしか見えません。 でも、中には美しいフレスコ画などが残り歴史を感じさせる造りだそうで、人々の強い信仰心がうかがえます。
サン・ピエトロ・カヴェオーソ広場
そこから少し歩き、サン・ピエトロ・カヴェオーソ広場(Piazza S. Piero Caveoso)に着きました。
ここからも圧巻の眺望!グラヴィーナ渓谷(Gravina di Matera)の雄大な景色が広がっていました。
両側に迫りくる石灰岩の絶壁や、渓谷の下を流れるグラヴィーナ川を望む風景は壮大で、自然の偉大さを感じました。
そして反対側を見ると、サッシ地区の洞窟住居群が目の前に見えました。
先ほどパスコリ広場から眺めた時よりも距離が近いため、岩を掘り抜いて作られた住居の様子がよりはっきりと感じられました。
サン・ピエトロ・カヴェオーソ教会
サン・ピエトロ・カヴェオーソ広場に面して建っているのはサン・ピエトロ・カヴェオーソ教会(Chiesa di San Pietro Caveoso)です。
13世紀に建てられ、その後バロック様式に改修されたそうで、美しい外観でした。 内部には歴史を感じさせるフレスコ画など残っているようです。
チヴィタ地区
マテーラ大聖堂
その後、ランチタイムとなり、ヴィットリオ・ヴェネト広場のすぐ近くにあるナディ レストラン(Ristorante Nadi Matera)へ向かいました。
このレストランは、かつての洞窟住宅を改装して作られたという点でも興味深い雰囲気でした。 さらに、入口前からはマテーラ大聖堂(Cattedrale di Matera)を遠くに望むことができました。
プーリア・ロマネスク様式で建てられたマテーラ大聖堂は、内部にも見どころが多いようです。 また、高台に位置しているため、大聖堂前の広場からの眺望も素晴らしいそうです。
大聖堂までは250mほど距離があるようでしたが、多くの人が広場に立ち、こちらを眺めている様子が小さく見えました。
散策ルートの中にマテーラ大聖堂も入っていると予想していたのですが、立ち寄るのは時間的に無理だったようです。 遠目でチラッと眺めるだけで終わりちょっと残念でした。
また、あいにくの天候で途中から雨が強まり寒さも厳しく、階段や細い路地が入り組んだ道を傘をさしながら歩くのはなかなか大変でした。
でも、へこんだ気持ちを忘れさせてくれるほど、幻想的な風景と歴史を感じる独特な街並みに出会うことができました。
主にサッソ・カヴェオーゾ地区を中心に周りましたが、現地ガイドさんの案内のおかげで効率よく観光でき、忘れられない思い出となりました。
マテーラ観光マップ
ピンクライン:実際に歩いた散策ルート