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【十字架の丘】 祈りの象徴 - 大パノラマで広がる無形文化遺産 - リトアニア旅行記

周遊ツアーでバルト三国を巡る場合、 リトアニアの首都ビリニュスと、ラトビアの首都リガの間に位置する シャウレイ(Siauliai)に立ち寄ることが多いと思います。

シャウレイは、ビリニュスの北西方向、 リトアニアとラトビアの国境にほど近いところに位置します。 リトアニア第4の都市で、何よりも無形文化遺産である 十字架の丘がある街として多くの観光客を惹きつけています。

十字架の丘(Hill of Crosses)

この丘は、シャウレイの中心地から北に10キロほど行ったところにあります。 その広大な丘に立ち並ぶおびただしい数の十字架。

これらは、ソ連軍により処刑された人々、シベリアへ流刑された人々を追悼するため、 次々と持ち寄られ、現在のように無数の十字架が立ち並ぶ風景になったそうです。

さて、ちょうど大寒波が押し寄せていたヨーロッパ。 帰国後調べてみると、 シャウレイの最低気温は マイナス17度、最高気温が マイナス8度となっていました。

で、旅行中に一番寒さが身にしみたのがここ、十字架の丘でした。 何故って、下の写真のような 雪原が広がり、風はビュービュー吹きっさらし! その中、十字架が並ぶ丘には、駐車場から約10~15分ほど歩かなければいけないんです。

もう寒い!なんてもんじゃなかったです。 持っていったあらゆる防寒着をまとい、スヌードや帽子で できる限り顔も覆って、 急ぎ足で雪を踏みしめながら歩いて行きます。

やっと近くまで到着。改めて、左右に広がるおびただしい数の十字架にびっくりです。

バルト三国に旅行することに決めて、いろいろ観光情報を調べるまで、 このような歴史的な場所があることは全く知りませんでした。 こうして、目の前に広がる十字架群を見ると、 リトアニアの人々の揺るぎない信仰心の強さを感じます。

中央にはひと際目立つ、見上げる高さの、大きなキリスト像。 これは、ローマ教皇のヨハネ・パウロ二世が1993年にこの地を訪れた際に建てたものだそうです。

巨大なキリスト像もあれば、様々な大きさ、形の十字架が数限りなくあります。

旧ソ連軍は、何度も何度も、この十字架群を撤去したそうですが、 すぐ新しい十字架がどんどん持ち寄られ、その数は現在でも増え続けているそうです。

中央には階段があります。

雪の降り積もった階段を、ゆっくりと上っていきました。

階段の横一面にも、十字架が折り重なって並んでいます。 長い年月をかけて、来る人来る人、どんどん自由に願いを込めながら置いて行ったのでしょう。 整然さは全くないけど、強い願いや祈りがぐいぐいと胸にうち響いてきます。

階段を上って前の方を見ると、広大な平原の中を流れる川も凍りついていました。

寒さに震えながらも、せっかく訪れた地。ひと通り歩いていると、一番最後になっちゃいました。 ツアーの他の人たちは、駐車場のバスの方への帰り道。ずいぶん前の方。 私も雪に足を取られながら、急ぎ足で後を追いかけました。

改めて、振り返って最後にパチリ! でも、パノラマで収めようと思っても、やはり収まりきらない十字架の数々。 今まで見たことのないような壮大なスケールの風景でした。

リトアニア周辺マップ

十字架の丘をマークした地図です。 リトアニアの首都ビリニュスや、ラトビアの首都リガとの位置関係がわかります。