ヴェルサイユ宮殿はパリ南西約20kmに位置する旧王宮で、ユネスコ世界遺産にも登録されている歴史的建造物です。
もとは狩猟用の館でしたが、17世紀にルイ14世によって宮殿へと大規模に改築され、絶対王政の象徴となりました。
現在は一般公開されており、壮麗な宮殿建築や華やかな内部装飾が訪れる人々を魅了しています。
ヴェルサイユ宮殿 - 主要エリアと必見スポット
ヴェルサイユ宮殿へのアプローチ
ヴェルサイユ宮殿前は広場になっており、2つの門を順に通過し、中庭を経て建物内へと入っていく流れになります。
アルム広場とルイ14世の騎馬像
ヴェルサイユ宮殿観光の起点となるアルム広場(Place d'Armes)は、もともとは軍事演習や儀式の場として使用されていたそうです。
中央にあるのは、ルイ14世の騎馬像(Statue equestre de Louis XIV)です。 馬上で前方を見据える姿が勇ましく、王の威厳を示しています。
名誉の門と名誉の中庭
ヴェルサイユ宮殿の敷地に入る際にまず通るのは、アルム広場に面した名誉の門(Grille d'Honneur)です。
門を抜けると名誉の中庭(Cour d'Honneur)が広がり、左右対称に建物が並んでいます。
王の門と王の中庭
名誉の中庭のさらに奥にあるのは、黄金に輝く王の門(Grille Royale)で、この門を抜けると建物正面に面した王の中庭(Cour Royale)に入ります。
2008年に復元されたもので、豪華な装飾が施された門はヴェルサイユ宮殿の象徴的な景観の一つです。
門の最上部には王冠や百合の紋章の金箔装飾があり、絶対王政を象徴したものとなっています。
大理石の中庭
最奥には大理石の中庭(Cour de Marbre)があり、周囲を宮殿の建物に囲まれた重厚で優雅な空間が広がっています。
外壁は赤レンガと白い石材の組み合わせによるコントラストが美しく、濃いグレーの屋根とともに落ち着いた重厚感があります。
窓枠やバルコニーには金箔装飾が施され、華やかさが際立つ外観です。
ヴェルサイユ宮殿 - 内部
まず一角にある王室礼拝堂を見学し、その後国王の公式居室であるグラン・アパルトマンの各広間を巡ります。
そして宮殿の最も象徴的な鏡の間を通過し、最後に王妃の居室エリアの寝室などを見学し、出口へと向かう流れになります。
王室礼拝堂 - 王族の宗教儀式の場
下の写真の右奥の建物は、王室礼拝堂(Royal Chapel)です。ルイ16世とマリー・アントワネットの結婚式が執り行われた場所としても知られています。
2層構造の回廊を持つ荘厳な造りで、王族は上階からミサに参列したそうです。
礼拝堂内は美しい装飾と天井画が素晴らしく、荘厳で神聖な雰囲気に包まれていました。
グラン・アパルトマン - 国王の公式居室群
グラン・アパルトマン(Grand Appartement)は、国王が儀式や公式接見などの場として利用した一連の部屋です。
各部屋は、神話をテーマにした広間となっています。
ヘラクレスの間
グラン・アパルトマンの起点となる最初の大広間です。
豪華な装飾とともに正面には『シモンの家の晩餐』が飾られ、宮殿内でも見どころの多い広間の一つとなっています。
天井一面に描かれた『ヘラクレスの神格化』も有名な作品で、見上げると雲の上の天へとつながるような奥行きを感じました。
豊穣の間
かつてはルイ14世が富と権威を示すために、数々の豪華な収集品を展示していたそうです。
天井には寓意画が描かれ、緑色を基調とした壁面には肖像画が掛けられ、金箔などで装飾された華やかな部屋でした。
ヴィーナスの間
部屋の壁面は大理石と金装飾で彩られ、豪華な雰囲気にあふれています。奥にはローマ皇帝の姿をしたルイ14世の彫像が置かれ、王の権威を感じました。
天井には『神々と強大国を従わせるヴィーナス』が描かれています。天井の四隅にも神話を題材とした装飾画があり、部屋全体が優美な雰囲気に包まれていました。
マルスの間
赤い壁面と重厚な金の装飾が印象的で、夜会や社交の場としても使用されたそうです。
ルイ15世やマリー・レクザンスカ妃の肖像画なども架けられ、華やかさと威厳をあわせ持つ広間でした。
メルキュールの間
華やかさと格式の高さを感じる、国王の寝室として造られた部屋です。 しかし、実際にルイ14世がここで就寝することはほとんどなく、主に儀式や公式行事の場として用いられたそうです。
現在は、豪華な天蓋付きベッドが復元されて置かれています。
アポロンの間(玉座の間)
アポロンの間は王の公式な玉座の間として使用され、王の権力そのものを象徴する部屋です。
豪華な装飾が随所に見られ、ルイ14世の肖像画が掛けられていました。
鏡の間 - 宮殿を象徴する壮麗な大回廊
グラン・アパルトマンと王妃エリアを結ぶ大回廊で、もとはテラスとして使われていた場所を改装して造られたそうです。
王政時代には舞踏会や公式行事、外交の場として使われ、1919年にはヴェルサイユ条約の調印が行われた歴史的にも重要な場所です。
全長約73m、幅約10m、高さ約12mの空間に、庭園側の窓と向かい合う形で357枚の鏡が並び、光が反射して眩いばかりの美しさ。
思わず足を止めて見入ってしまうほどの美しさで、宮殿を代表する見どころの一つとなっています。
王妃エリア - 居室・寝室
王妃の生活の中心であったこの部屋は、豪華な金箔装飾に彩られ、優雅で格調高い雰囲気です。
部屋の中央で目を引くのは、マリー・アントワネットが愛した花模様を復元した豪華な天蓋付きベッド。
王妃としての気高さと、彼女のイメージ通りの愛らしさが調和した美しい部屋でした。
宮殿内では王族の肖像画も大きな見どころの一つです。
『マリー・アントワネットとその子供たち』には、王妃マリー・アントワネットと、長女マリー・テレーズ、長男ルイ・ジョゼフ、次男ルイ・シャルルが描かれています。
母としての姿が表現された作品で、子どもたちに寄り添う王妃の穏やかな表情が心に残りました。
華やかなドレスをまとったマリー・アントワネットの肖像画には、王妃としての気品と優雅さが際立って描かれていました。
戴冠の間 - ナポレオン1世の栄光を称える
ナポレオン1世の功績を称え、フランス革命後の歴史を伝える展示室となっています。
ナポレオン時代の栄光を象徴するように、壁一面には巨大な絵画『ナポレオンの戴冠式』が掛けられています。
同じ作品がルーヴル美術館にも所蔵されていますが、これは作者ジャック=ルイ・ダヴィッドが制作した別バージョンだそうです。
向かい合わせの壁に展示されている『鷲旗の配布』も、ほぼ同サイズの巨大な絵画で、ナポレオンが皇帝に即位した直後の式典の様子が描かれています。
フランス革命後の混乱を経て、ナポレオンが権威を確立していく過程を象徴する作品となっています。
ヴェルサイユ宮殿 - 庭園
宮殿内部の見学を終え、次に向かったのは宮殿の裏手に広がる庭園です。
下の写真は、先ほど内側から眺めた「鏡の間」がある建物を、今度は庭園側から眺めたものです。
建物から西方向には広大な庭園が広がり、手前には、ラトナの噴水(Le Bassin de Latone)があります。
庭園は約800ヘクタールの広さを誇り、遥か先にはグラン・カナル・ド・ベルサイユ(Grand Canal de Versailles)と呼ばれる大運河が見渡せました。
円錐形のトピアリーが等間隔に並ぶ美しさにも惹かれました。
低木の花壇は曲線を描く幾何学模様で、優雅で洗練された雰囲気でした。
ヴェルサイユ宮殿を訪れて
フランスの歴史の中で欠かせない存在であるヴェルサイユ宮殿は、想像以上のスケールと華やかさにあふれています。
天井画や室内装飾が飾られた宮殿内部の豪華さに圧倒され、整然と美しい景観が広がる庭園に感動しました。
他にも見どころは数多く、離宮「大トリアノン」やマリー・アントワネットが愛した「王妃の村里」などを回るには時間が足りませんでしたが、 非常に充実した時間を過ごし、ヴェルサイユ宮殿をあとにしました。