フランス中部に位置するロワール地方は、パリからTGV(高速列車)で手軽にアクセスでき、歴史ある古城巡りを楽しめるエリアとして人気があります。
フランス最長のロワール川流域に広がる美しい景観は「フランスの庭」と称され、中世からルネサンス期にかけて築かれた古城が今もなお数多く残っています。
ロワール古城巡り - シュノンソー城からシャンボール城へ
トゥールの街を拠点とし、翌日はロワール地方の古城を巡りました。
バスでの移動中も、車窓からは川沿いの穏やかな田園風景や古城をいくつも眺めることができます。
これらの景観はユネスコ世界遺産にも登録されており、どこを切り取っても絵になる見どころ豊かなルートでした。
シュノンソー城
シュノンソー城は16世紀初頭に築かれたロワール地方を代表する古城で、歴代の王妃や愛妾たちが城の発展に深く関わったことから、「6人の女性の城」とも呼ばれています。
シェール川に優雅に架かる独特の構造で知られ、現在はロワール渓谷の世界遺産を象徴する名城の一つとなっています。
シュノンソー城周囲の風景
入口(スフィンクス像)
シュノンソー城に向かってプラタナスの並木道がまっすぐ続き、その先の前庭(名誉の庭)入口で左右一対のスフィンクス像が出迎えてくれました。
管財人の家(La Chancellerie)
前庭に入ると、東側には管財人の家と呼ばれる建物が見えてきます。
16世紀に建てられた歴史ある建物で、現在もシュノンソー城の管理施設として利用されているそうです。
まるでおとぎ話に出てくるようなメルヘンチックな外観が可愛らしく、壁を這うように伸びる植物が白い壁に美しく映えていました。
ドーム棟(Bâtiment des Dômes)
前庭の西側には長く伸びるドーム棟があり、かつては城に仕える役人や使用人たちのための施設として利用されていたそうです。
現在は王妃の薬局(L’Apothicairerie)やレストラン、ショップなどが入り、公開エリアとなっています。
マルクの塔(Tour des Marques)
前庭(名誉の庭)から城館入口へ向かう途中には、シュノンソー城の敷地内で最も古い建築物の一つとされるマルクの塔が残されています。
もともとは15世紀にこの地を治めていたマルク家が築いた要塞の一部で、中世の面影を今に伝えています。
カトリーヌの庭(Jardin de Catherine de Medicis)
シュノンソー城の周囲には、個性豊かな二つの庭園が残っています。
城館の西側にあるのが、国王アンリ2世の王妃カトリーヌによって造られたカトリーヌの庭です。
庭の中央には円形の池があり、優雅な景観となっています。
ディアーヌの庭(Jardin de Diane de Poitiers)
一方、城館の東側には、愛妾ディアーヌのために造られたディアーヌの庭があります。
国王からこの城を贈られた彼女は、その寵愛を象徴するかのような広大で華やかなフランス式庭園を完成させたそうです。
中央には噴水があり、幾何学模様に整えられた庭園は華やかな雰囲気でした。
シュノンソー城の外観
シェール川に浮かぶように建つ優雅な外観は、シュノンソー城を代表する見どころの一つとなっています。
庭園越しに眺めた白亜の城館は優雅な佇まいで、川をまたぐアーチ型の石橋が幻想的な景観をつくり出していました。
シュノンソー城の内部見学
城内は絵画やタペストリーなどが数多く飾られており、美術館としての価値も感じられる内装となっています。
まずは、かつて宮廷護衛兵の控え室として使われていた護衛兵の間を通り抜け、城館東側にある礼拝堂へ向かいました。
礼拝堂
礼拝堂は当時の面影を残す高い吹き抜け構造となっており、天井にはルネサンス期らしい美しい交差ヴォールトが見られます。
ステンドグラスは第二次世界大戦中の爆撃によって失われ、現在のものは1954年に再制作された作品だそうです。
大回廊(ギャラリー)
シェール川の上に造られた大回廊は、全長約60メートル・幅約6メートルの広さで、白黒市松模様の床が特徴的です。
両側に並ぶ大きな窓からは穏やかな川の流れや庭園風景を望むことができ、かつては華やかな舞踏会や宮廷行事にも利用されていたそうです。
ディアーヌ・ド・ポワティエの居室
国王アンリ2世の愛妾ディアーヌの居室はシュノンソー城でも特に優雅な一部屋です。
部屋の中心には、ルネサンス様式の豪華な青い天蓋付きのベッドが置かれ、壁のタペストリーや絵画、装飾された豪華な暖炉などが見られます。
カトリーヌ・ド・メディシスの居室
こちらはアンリ2世の王妃カトリーヌの居室です。
赤と金を基調とした重厚で権威ある内装で、ディアーヌの青い部屋とは全く異なる雰囲気となっています。
五人の王妃の居室
王妃カトリーヌの二人の娘と三人の義理の娘に由来し、気品あふれる居室です。
こちらも、天蓋付きベッドやタペストリーが見事な優雅な内装となっています。
ルイーズ・ド・ロレーヌの居室
こちらは国王アンリ3世の王妃ルイーズの居室です。
他の華やかな居室とは対照的に室内は黒を基調とした装飾で統一され、重々しい空気に包まれていました。
王妃ルイーズは夫が暗殺された後、生涯を喪に服し祈りの日々を過ごしたそうです。
王妃の深い悲しみが伝わってくる印象に残る部屋でした。
ルイ14世のサロン
きらびやかさを誇るこの部屋は、ルイ14世がこの城を訪れたことを記念したものだそうです。
鮮やかな真紅の壁面や金箔装飾が豪華で、室内には重厚な家具や肖像画が並んでいました。
特に目を引くのは、中央に飾られた若き日のルイ14世の肖像画です。
豪華な金色の額縁に収められたこの肖像画は、ルイ14世から贈られたものと伝えられています。
シュノンソー村
シュノンソー城見学後は、すぐ門前に広がるシュノンソー村を散策しました。
お城の華やかな景観とは対照的に、村には歴史の重みを感じさせる石造りの建物などが見られ、昔ながらの雰囲気でした。
踏切番の家
シュノンソー駅近くには、かつて踏切管理を担っていた小さな踏切番の家(Maison de garde-barriere)が残されています。
1877年に建てられ、現在は歴史的価値からフランスの歴史的建造物にも指定されているそうです。
シュノンソー村役場・小学校
シュノンソー駅から北へ少し歩くと、シュノンソー村役場の建物があります。
淡いベージュの壁に白い縁取りが映える外観で、建物には小学校も併設されているようでした。
サン・ジャン・バティスト教会
村役場前の広場から東へ目を向けると、歴史の深さを感じさせる建物が並んでいます。
郵便局と並んで建つのは、12世紀に創建されたサン・ジャン・バティスト教会(Eglise Saint-Jean-Baptiste de Chenonceaux)です。
16世紀に再建されたというこの教会は、今も村の人々の信仰のよりどころとして、大切に守り継がれています。
内部は白を基調とし、過度な装飾は見られず、素朴ながら温かみのある雰囲気でした。
ロワール渓谷
シュノンソー村をあとにし、古城や田園風景が広がるロワール渓谷の景色を眺めながらシャンボール城へ向かいました。
フランス中部を流れるロワール川周辺には、中世からルネサンス期に築かれた古城群や小さな村々が点在しています。
アンボワーズ城
アンボワーズの街に入ると、高台にそびえるアンボワーズ城(Château d'Amboise)が見えました。
白い城壁が続く外観は、遠目からでも圧倒的な存在感。
城の敷地内にはサン・テュベール礼拝堂(Chapelle Saint-Hubert)があり、晩年をこの地で過ごしたレオナルド・ダ・ヴィンチはそこで埋葬されたということです。
ショーモン城
ロワール川沿いを進むと、高台に建つ白亜のショーモン城(Château de Chaumont-sur-Loire)が姿を現しました。
崖の上にそびえる城館と、その麓に広がる小さな街並みが重なり、中世のような美しい景観となっていました。
サン・ニコラ教会
車窓からの一瞬の眺めでしたが、中世の面影を色濃く残すブロワの街並みはとても心に残りました。
二つの尖塔がそびえ立つ大きな建物は、サン・ニコラ教会(Église Saint-Nicolas)。
12世紀から13世紀にかけて建立された、ブロワを代表する歴史的な宗教建築の一つです。
そのすぐ背後の高台には、かつてフランス王家の王宮であったブロワ城(Château royal de Blois)があります。
ブロワ大聖堂(聖ルイ大聖堂)
さらにロワール川沿いを進むと、丘の上には大きな聖堂がそびえ立っていました。ブロワの街のランドマーク、サン・ルイ大聖堂(Cathédrale Saint-Louis de Blois)です。
17世紀に再建された教会で、白い石造りの外観や高く伸びる鐘楼が存在感を放っていました。
シャンボール城
ブロワを離れ、到着したのはロワール渓谷最大級の規模を誇るシャンボール城(Château de Chambord)です。
1519年に国王フランソワ1世によって「狩猟用の離宮」として建設が始まり、フランス・ルネサンス建築の最高傑作の一つとして知られています。
今回は時間の都合で内部見学はできませんでしたが、外から眺めるだけでも圧倒されるような迫力がありました。
映画「美女と野獣」に登場する城のモデルの一つとも言われています。当日は晴天にも恵まれ、青空に映える白亜の外観はため息が出るほどの美しさでした。
ロワール地方を訪れて
シュノンソー城では華やかな城内や美しく整えられた庭園をじっくり見学でき、周囲に広がる素朴な村の風景にも心が癒されました。
移動中の車窓から眺めたアンボワーズやブロワの街並みも絵画のように美しく、最後に訪れたシャンボール城の壮麗な外観も強く印象に残っています。
ロワール地方の魅力を堪能し、優雅な時間を過ごすことができました。