パリはセーヌ川を中心に街が広がっており、宮殿や歴史ある教会、美術館が川沿いに連なるように点在しています。
今回はコンコルド広場からノートルダム大聖堂までを歩き、川沿いに続く風景の中でフランスの歴史に触れてきました。
セーヌ河岸の散策ルート - コンコルド広場からノートルダム大聖堂へ
セーヌ川を軸にしたパリ中心部は、地図で見る印象よりも実際の距離が近く、思った以上にコンパクトにまとまっています。
途中に位置するルーヴル美術館は別日にじっくり見学することにし、今回は歴史的な広場や建造物を眺めながら、セーヌ川沿い約3kmほどの散策を楽しみました。
コンコルド広場
コンコルド広場(Place de la Concorde)はセーヌ川右岸(北岸)に位置し、チュイルリー庭園とシャンゼリゼ通りを結ぶ都市軸の要所として整備された歴史的広場です。
現在は観光客や市民が行き交う憩いの場所となっていますが、フランス革命期には処刑場として使用され、ルイ16世やマリー・アントワネットが処刑された歴史を持ちます。
コンコルド広場中央にあるのはルクソール・オベリスク(Obelisque de Louxor)です。
これは、エジプトで約3300年前に造られ、19世紀に贈与されたものだそう。その高さとスケールは広場の象徴として際立っており、歴史の重みを感じました。
コンコルド広場には、ブロンズ像と石造の水盤がある豪華な噴水がありました。
ここは、映画『プラダを着た悪魔』の終盤で、主人公が携帯電話を投げ入れるシーンの舞台としても知られています。
コンコルド広場の対岸に見えたのは、フランスの下院にあたる国民議会の議事堂であるブルボン宮殿(Palais Bourbon)です。
18世紀初頭に王族邸宅として建設が始まり、その後フランス革命を経て、現在は立法機関の中心施設となっています。
ギリシャ神殿を思わせるような柱の並びや三角形の屋根装飾が美しく、端正で気品あるファサードでした。
コンコルド広場から西の凱旋門に向かって直線的に延びるのはシャンゼリゼ通り(Av. des Champs-Elysees)です。
通りの両脇には街路樹が整然と並び、広い車線と歩道がまっすぐ続きます。
パリを象徴するエレガントな通りとして知られ、遠景には凱旋門が小さく見えました。
チュイルリー庭園
コンコルド広場から東方向に広がるのはチュイルリー庭園(Jardin des Tuileries)です。
16世紀に宮殿庭園として造られ、その後17世紀に幾何学的なフランス式庭園として改修されたそうです。
現在は公共庭園として開放されており、中央にある大きな池や噴水と芝生が広がる公園内は、穏やかな空気が流れていました。
オルセー美術館
オルセー美術館はチュイルリー庭園と向かい合って建っており、セーヌ川左岸に位置します。
1900年のパリ万博に合わせて建設されたオルセー駅を前身とし、鉄道駅としての役割を終えた後に美術館として再生されたそうです。
現在は主に19世紀後半から20世紀初頭の美術作品を収蔵する美術館として機能し、印象派を中心とした展示で知られています。
石造の重厚なファサードと大きなアーチ窓が特徴的で、駅建築の構造を活かした左右対称の外観となっています。
中央付近には巨大な大時計があり、旧駅舎の面影を残す雰囲気。
内部はかつてのホームを利用しており、中央の大通路に沿って彫刻や絵画が展示されています。
モネ、ゴッホ、ルノワール、セザンヌなど有名な絵画が目白押しでした。
ジャンヌ・ダルク騎馬像(ピラミッド広場)
チュイルリー庭園に沿って東方向に歩いて行く途中、何やら黄金に輝く騎馬像が視界に入りました。
これはなんと、フランスの英雄ジャンヌ・ダルク騎馬像(Statue de Jeanne d'Arc)です。
騎馬像があるのはチュイルリー庭園とルーヴル美術館の間に位置する小さなピラミッド広場(Pl. des Pyramides)。
広場名の「ピラミッド」は、ナポレオンのエジプト遠征(1798年のピラミッドの戦い)に由来しており、その中心に国民的英雄のジャンヌ・ダルク像が置かれたようです。
パレ・ロワイヤル
パレ・ロワイヤル(Palais-Royal)は17世紀前半に貴族の邸宅として建設され、その後フランス王家の所有となりました。
ルイ14世が幼少期に居住していたことでも知られる宮殿です。
現在ではカフェやブティックが入り、中庭のある歴史的建造物として一般に開放されています。
サン・ジェルマン・ロクセロワ教会
サン・ジェルマン・ロクセロワ教会(Eglise Saint-Germain-l’Auxerrois)は、ルーヴル美術館の東側に位置します。
中世にさかのぼる歴史を持ち、王室と関係が深く、王族の礼拝や宮廷行事にも関わる教会として発展したそうです。
ゴシック様式を基調とした外観で、尖塔と精緻な彫刻装飾が美しく、石造の重厚なファサードが印象的でした。
シャトレ広場
更に東に進むと、シャトレ広場(Place du Chatelet)があります。
この場所にはかつて中世の城塞「グラン・シャトレ」があり、王権の司法機能や監獄として利用されていたそうです。
広場中央にはヤシの噴水(Fontaine du Palmier)があり、ナポレオンのエジプト遠征戦勝を記念する記念碑があります。
ヤシは勝利と栄光を象徴しているそうです。記念碑上部では、勝利の女神像が黄金に輝いていました。
シャトレ広場からシャンジュ橋(Pont au Change)を渡り南方向へ進むと、シテ島(Ile de la Cite)へアクセスすることができます。
シテ島はセーヌ川の中央にある島で、複数の橋や公共交通機関で容易に訪れることができる観光スポットです。
パリ発祥の地とされ、古代ローマ時代からの歴史があり、中世には宗教と政治の中心として発展してきたそうです。
シテ島に向かい、いくつかの観光スポットを巡りました。
コンシェルジュリー
まず訪れたのはコンシェルジュリー(Conciergerie)。シテ島北側に位置し、セーヌ川沿いに残る中世由来の旧王宮施設です。
その後は司法施設や牢獄へと転用され、フランス革命期には政治的拘束の場としての役割を担い、マリー・アントワネットが収監されたことでも知られています。
ゴシック様式の石造建築と高い塔が特徴的で、堅牢な外観です。
内部は大広間や回廊など当時の状態が残されており、厚い石壁の中で冷たい空気を感じました。
マリー・アントワネットが収容されていた独房の再現部屋には、以前は象徴的な再現人形が置かれ、処刑前の孤独な時間を想像させる重々しい空気に包まれていました。
現在はタブレットなどを用いて、当時の様子を映像的に眺めることができるようになっています。
サント・シャペル教会
サント・シャペル教会(Sainte-Chapelle)は13世紀にフランス王ルイ9世によってキリストの聖遺物を納めるために建設されたゴシック建築です。
この教会は上下二層構造が特徴的で、下階は宮廷関係者の礼拝空間、上階は王族専用の礼拝空間として造られているそうです。
なんといっても最大の魅力は、壁面のほとんどがステンドグラスで、内部全体が色彩豊かに輝いていることです。
聖書の物語を描いた1,000点以上の場面が光とともに浮かび上がり、「聖なる宝石箱」と称されるのも納得の内部でした。
ノートルダム大聖堂
ノートルダム大聖堂(Notre-Dame de Paris)はシテ島の東端に位置するカトリック大聖堂で、12世紀から建設が始まったそうです。
尖塔やバラ窓、飛び梁といった構造が特徴で、中世ゴシック建築の傑作として知られています。
正面ファサードの中央扉口には、最後の審判の門(Portail du Jugement Dernier)があります。
キリストによる審判の場面を中心にした彫刻装飾が施され、死者の復活や天国と地獄の対比などが石彫で表現されています。
内部は高窓のステンドグラスから光が入り込み、特にバラ窓には聖書の場面や幾何学模様が細かく描かれ、色彩の美しさがとても印象に残りました。
ノートルダム大聖堂は2019年の火災で屋根部分が大きく焼失し、象徴である尖塔も崩れ落ちる被害を受けました。
建物全体の崩壊は避けられたものの、現在も復元と補修が進められています。
セーヌ河岸には歴史的な建造物や見どころが多く、充実した一日を過ごすことができました。
その一方で、じっくりと観光するには時間が足りず、もう少し余裕のある日程で、また訪れることができたらと感じるエリアでした。